1987年春、8ビットパソコンの代表格として活躍してきた PC-8801 シリーズの最上位モデルとして、PC-88VA は誕生しました。
8801 シリーズとしては初めて V30 互換の16ビット CPU を登載し、スプライト・6万色グラフィック表示[email protected]!G=$J$I$rHw$(!"$=$l$^$G$N 8801 シリーズと比べると大幅な機能強化がなされていました。とくに表示機能については、当時のパソコンの最高水準にあったものと思われます。
16ビット CPU を登載しながらも、それまでの 8801 シリーズの動作(V1/V2モード)をエミュレーションする機能を備え、ほとんどすべての 8801 シリーズ用ソフトが動作します。一方、16ビット CPU として動作するモードを V3 モードと呼び、V1/V2 モードとは全く別の、独自の世界を築いています。
1987年の周囲の状況を眺めてみると、PC-9801 シリーズでは V30 登載の VM21、80286 登載の VX が現役でした。一方シャープからは、「発売前からこれほど期待の高かったマシンはない」といわれている X68000 が発売されています。
翌年1988年には、サウンド機能を強化した 88VA2, 88VA3 が発売されました。従来のFM音源・SSG音源に加え、ADPCM再生・録音、ドラム音源が追加されました。さらに VA3 には、9.3Mバイトの大容量をもつ3.5インチディスク(2TD)ドライブが内蔵されました。(このメディアが普及しなかったことは、現在を見て頂ければ明かです。)
「これは、きっと、テレビより、面白くなる。」 これが 88VA シリーズのキャッチコピーでした。NECにしては珍しく、アミューズメント性の高いアプリケーションソフトをいくつか 88VA 用として発売しています。
その代表的なのが「パーソナルインフォメーションツールPi」という、画像・音声・文字・アニメーションをカードと呼ばれる画面単位に蓄積できる、カード型データベースのようなソフトです。先のキャッチコピーはこのソフトを意識したものでした。
X68000 シリーズの鰻登の人気に対し、88VA シリーズの人気はなぜか勢いがなく、VA2/3 の発売にもかかわらず新作ゲームソフトの発売も減っていきました。
さらに翌1989年、NECは「従来の 8801 シリーズのソフトが動く PC-9801」PC-98DO を発売しました。当時、1年おきにモデルチェンジをするのが恒例となっている中で、88VA の新機種の発売がないかわりに 98DO というマシンが発売されたことは、88VA がNECに捨てられたことを意味していました。こうして 88VA は生みの親に息の根を止められたのでした。
新機種の発売は無くなったものの、88VA には根強いファンが結構いるらしく、パソコン通信ネット等を中心に、ソフトウエア・データ作りや情報交換などが現在でも活発に行なわれています。